事業報告

2024年度 (第62期) 事業報告

日段を取りまく社会・環境・経済

内外ともに不透明かつ混迷の度合いが深まった1年となった。

ロシアによるウクライナ侵略の長期化に加え、中東情勢の悪化など、地政学的リスクが高まる

米国経済が堅調さを維持する一方で、中国経済の停滞が懸念される。

加えて、主要国で選挙が相次ぎ、米国では4年ぶりにトランプ氏が次期大統領に就任する結果となり、保護主義や自国第一主義の台頭に対する懸念が、再び高まる。

 

1月の能登半島地震や9月の奥能登豪雨といった、痛ましい災害に見舞われた。

秋の衆院選では、与党が30年ぶりに過半数を大きく下回り、少数与党へ転じるなど政治的変動が生じる一方で、歴史的円安や物価高が続く中、設備投資か好調で、日経平均株価も史上初の4万円台を記録した。

日本銀行がマイナス金利の解除に踏み切るなど、金融政策にも大きな転換点が訪れ「賃上げ」をテーマに、中小企業の賃上げ率も3%台半ばに達するなど、物価と賃金の好循環に向けた大きな一歩を踏み出した。

段ボール業界全体としての取組み

  • 人手不足感が強まり「人材の育成」「従業員の労働生産性の向上」に向けた取り組みが課題となった。
  • 「TFP委員会」が中心となり「トラック業界の2024年問題」を念頭におきながら、改善活動を推進。
  • 労働災害撲滅へ各団体の「安全衛生委員会」が中心となって、セミナーや外部講師を招いての研修を継続。

日段の主要な取組み・できごと

  • 段ボール製函機の老朽化により石川製作所 WIN MR に更新。
  • ベースアップ、定期昇給を実施。
  • 5年ぶりに親睦会を開催!全工場の従業員が一堂に会した。
  • 公立鳥取環境大学の40名弱の学生が訪れ、段ボールの製造工程及び環境側面に関心をよせて頂く。
  • 出石工場の増床工事が完成、運用を開始!
  • 株式会社清水さん主催の縁日~水祭り~が開かれ、例年に引き続き「段ボール迷路」でコラボさせて頂く。
  • 真夏の恒例行事となっている日段祭(納涼祭)を開催!
  • こども参観日を開催!夏休みの恒例行事
  • 8月22日、鳥取市の気温が統計開始以来最高の39.4℃を記録!猛暑対策が重要に。
  • 2泊3日の社員旅行を5年ぶりに開催。箱根~横浜~東京、ディズニーランドを巡り、総勢126名の参加 。
  • 豊岡市環境衛生推進協議会様の視察研修会でお立ち寄り頂き、工場を見学して頂く。

安全衛生への取組み

  • 猛暑に備え、空調設備を拡充!
    特に本社製段課(コルゲートマシン)にGHPエアコンを増設し、労働環境を改善。
  • 60周年を機にユニフォームをスタイリッシュに一新 !スリムかつストレッチ素材で動きやすくポッケも沢山♪
    原紙リフト走行エリアに入る業務で反射ベスト着用をルール化!リフト運転者から目立つよう改善できた。
    転倒事故が多い事から、段差やつまづき箇所の改修工事を実施
    • 無災害:326日(2024年末時点)
    • 労災件数:5件
      • 作業標準教育の不徹底1件
      • 転倒3件
      • その他1件
  • 床面防塵塗装
  • ヒヤリハット調査
  • ボウリング大会
  • 防火シャッター点検
  • 避難訓練・放水訓練実施
  • 消防署立入検査
  • インフルエンザ予防接種(67名)
  • 安全・衛生週間行事(年2回)
  • 安全パトロール(毎月)
  • 各工場視察監査(年2回)
  • 全体安全衛生委員会(年2回)
  • ショートタイム危険予知トレーニング(SKYT)の実施

とっとりSDGsに関連する取組み

  • 廃液・廃水量の削減~新しい展色見本帳が完成

    段ボール印刷用インキ色の集約(環境負荷軽減・生産性向上)へ向け、標準色を見直した。
    また、弊社の色見本が古くなっており、更新が必要になった事も重なり、新たな展色見本帳が必要に…
    そこで、弊社の印刷機で実際の段ボール素材へ印刷する事で、
    リアリティーを高めたオリジナル展色見本帳を手作り!

    お客様より「わかりやすくなった」との高評価と取組みへのご理解を頂いた結果、10色の削減につながった。

  • GHG排出量

    本社のGHG排出量が全体の82%を占め、特に工場電力+LNGボイラー+GHP空調だけで、全体の77%、本社の93%を占める。
    すなわち板紙(段ボールシート材料)製造に係る設備が、多く占めている事を表している。

    また、省力化・省人化で、機械化と機械の高速化に伴い、電力量は増える傾向となっている。
    さらに、猛暑における労働環境の改善を目的に、空調設備を拡充させていることから、GHG排出量が増加した。
    一方で、本社に設置したソーラパネルが本稼働し、自然エネルギーの利用がスタート!
    よって、本社の電力量は前年比4.19%増加したものの、GHGの排出量は横ばいとなった。
    この効果を高評価し、出石・安来工場についてもソーラーパネルの導入を計画する。

  • CFP(カーボンフットプリント・オブ・プロダクツ)~温室効果ガスの見える化~

    基幹システムへ項目を追加し、Scope3(原材料など)のアイテム毎にCO2排出量が登録できるようになった。
    LCA(および個別製造原価管理)の積算システム導入へ向けた計画を進める。

  • FSC(森林認証制度)

    FSC認証取得して8年が経過…FSC-COC(森林認証原紙)ロゴマーク対象製品の認証原紙使用量は、前年より36%増加した。
    外部審査指摘件数:9件

  • 事業承継

    木型の製作・修理で協力して頂いてる西尾製作所さんでは、事業承継が問題に。
    加工機械ほかを買い取り指導を受け、一部の木型の製作・補修を内製化した。

その他の取組み

  • 5S活動
  • 改善提案: 75件
  • 教育・研修等 レポート: 57件

業績

  • 段ボール生産量: 25,693[千㎡] (前期の1.3%ダウン)
  • 売上高: 3,619 [百万円] (前期の0.4%ダウン)
  • 雇用: 従業員数 184名
  • 半導体関連の需要低迷、天候不順・害虫被害による農産品出荷量の減少や、物価上昇による買い控え等で、生産量が前期より1.3%減少。
  • 物価高騰を受けた価格転嫁も難航し、さらに生産量の減少に伴い、売上額も前期より0.4%減少。
  • 物流費の高騰や環境面の設備投資も増えた事から、営業利益においても前期より30%減少した。

見直し

  • 内部監査: 改善の機会(76件)、グッドポイント(30件)

  • レビュー: 3工場合せて27件の目標項目に対し、達成5件 (達成率18.5%)と非常に低い達成状況。

今後の主取り組み 〜ESGに配慮した取り組みの強化〜

  • 環境負荷低減・高品質・高付加価値を推進し、ESGや社会課題の解決へ貢献。
  • 出石・安来工場についてもソーラーパネルの導入を計画。
  • TFP(全要素生産性)向上への取り組みを継続し、労働生産性を向上させ、総実労働時間を削減。
  • 物価高や賃上げによる人件費・物流費の増加分を転嫁すべく、製品価格を改定していく。
  • ホワイト物流に対応する運送業者・顧客間の条件調整、物流・在庫管理の合理化。
  • インキの集約を行いロット変更による色替えで廃水量の削減。
  • 廃水量の時系列モニタリングを導入し、業務量との因果関係を深耕。
  • 類似クレームの原因解析の深耕。
  • BC(事業継続)の教育・訓練・演習の強化。
  • SDGs及びCSRへの関心の高まりに合わせ、リテラシー教育、啓発、活動の拡充。
  • 設計力(デザイン力など)を高める為、包装管理士の増員や社内教育プログラムを見直す。
  • 継続して「中核的労働要求事項」の教育を外部委託先含め社員教育を行う。
  • ISMSへの準拠、DX認定の取得を目指す。

これらをはじめ、継続的改善に努める。